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葉山ホテル音羽ノ森別邸
横須賀 葉山披露宴 ブライダル

【葉山】披露宴の向こう側で、海が色を変える

by 匿名2026年1月31日

白いクロスが張られた円卓のあいだを、私はトレイを抱えて静かに歩いていた。 磨かれた床に、シャンデリアの光と、窓いっぱいに広がる相模湾の青が映り込んでいる。

今日は披露宴。 そして私は、配ぜんスタッフとしてここに立っている。

少し不思議な気分だった。 新郎新婦の名前を聞いた瞬間、胸の奥が一瞬だけきゅっと縮んだ。

――後輩だ。

同じ現場で働いていた、あの子。 忙しい合間に、愚痴を言い合ったり、将来の話をしたりした、あの後輩。

目の前では、彼女が純白のドレスに身を包み、信じられないほど幸せそうに笑っている。

「おめでとうございます」

心の中で、何度もそう言いながら、私はグラスにワインを注いだ。 拍手が起こり、笑い声が重なり、会場は柔らかな熱を帯びていく。

正直に言えば、羨ましかった。 少しだけ、ほんの少しだけ、嫉妬もした。

同じ時間を過ごしてきたのに、 彼女は人生の節目に立ち、 私は今も、配ぜん用のヒールを履いている。

でも、ふと横を見ると、同じ制服を着た仲間が目に入る。 目が合って、軽くうなずき合う。

「次、メイン行くよ」 「了解」

それだけのやり取りなのに、不思議と心が落ち着いた。 私は一人じゃない。 ここで働く仲間がいる。 この場所を支える側として、同じ時間を共有している。

披露宴が進み、昼間の海は少しずつ色を変えていった。 青は橙に、橙はやわらかな紫に溶けていく。

会が終わるころ、窓の向こうには、夕陽が沈むロマンチックな海が広がっていた。

その光の中で、後輩は何度も何度も頭を下げ、涙ぐみながら笑っていた。 その姿を見た瞬間、胸の奥にあった小さな棘が、すっと溶けていくのを感じた。

「本当に、おめでとう」

今度は、心からそう思えた。

拍手が鳴りやみ、ゲストが帰り始める。 会場には、さっきまでの賑やかさが嘘のような静けさが戻ってくる。

「じゃあ、次の披露宴の準備いこうか」

誰かの声に、私はエプロンを整えた。 テーブルクロスを外し、グラスを下げ、新しい時間のために会場を整えていく。

幸せは、見る側にも、支える側にも、ちゃんと残る。

私はそう思いながら、次の披露宴へと向かう準備を始めた。

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コメント (1件)

通りすがり(2026/01/31)

人生の一大イベントに立ち会えるお仕事、最高に素敵です!

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