会社を辞めようか、3ヶ月ずっと悩んでいた。誰にも相談できず、毎晩考え込んで眠れない日が続いていた。 その夜も、気づけば終電を逃していた。当てもなく歩いていると、路地の奥に明かりが見えた。「居酒屋 よりみち」。 「いらっしゃい。一人?カウンターどうぞ」 60代くらいの大将が、おしぼりを差し出してくれた。 「何にする?」 「...おまかせで」 「了解。まあ、一杯飲みな」 出てきたのは、熱燗だった。冷えた体に染み渡った。 気づけば、大将に全部話していた。会社のこと、将来のこと、自分の情けなさ。 大将は黙って聞いていた。そして最後にこう言った。 「答えなんて誰も持ってねぇよ。でもな、悩んでるうちは、まだ選べるってことだ」 その言葉で、なぜか楽になった。 翌週、私は辞表を出した。後悔はしていない。