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ステーキハウス鉄板焼 不二
池尻大橋鉄板焼き

鉄板に映える、絶品ハンバーグ

by 匿名2026年3月8日

池尻大橋駅の改札を出て、商店街を抜ける。

田中の足取りは重かった。

大手航空測量会社のプロジェクトリーダーとして、今週は現場の測量データと格闘する日々が続いていた。ドローンで撮影した数千枚の画像を統合し、3Dモデルを生成する。一つのミスが全体の精度を狂わせる。責任は重い。五十二歳の背中には、それが沁みていた。

「腹、減ったな」

ふと、赤い看板が目に入った。

ステーキハウス鉄板焼 不二

以前、部下に教えてもらった店だ。創業四十年以上の老舗。各テーブルに鉄板があって、目の前で焼いてくれる。

暖簾をくぐると、昭和の匂いがした。

壁には短冊風のメニューがずらりと並ぶ。ハンバーグ、ステーキ、焼きそば。店内はテーブル席が六つほど。どこか懐かしい空間。

「いらっしゃい」

女将さんの声に、田中は小さく会釈した。

「ハンバーグ定食、お願いします」

「はいよ」

注文を聞くと、女将さんが鉄板に油を引く。ジュワッという音。肉の塊が鉄板の上で踊り始める。

田中はそれを眺めながら、深呼吸をした。

オフィスの冷たい空気と違う。ここには熱がある。音がある。匂いがある。

鉄板の上で、ハンバーグがいい焼き色になっていく。タマネギも、コンニャクも、順番に焼かれていく。

「お待ちどうさま」

目の前に置かれた鉄板は、まだジュージューと音を立てていた。

熱い。

田中は割り箸を手に取り、ハンバーグを一口。

「……うまい」

肉汁が口いっぱいに広がる。

田中は黙々と食べた。

箸を動かすたびに、朝から背負っていたものが少しずつ軽くなっていく気がした。

デスクで見つめ続けたモニターの向こうの世界——上空から見下ろす都市や山脈のデータ。精密で正確だが、どこか作り物めいた景色。

でも、これだ。

この熱。この音。この味。

五感で感じる「リアル」が、ここにある。

半分ほど食べたところで、田中はふと思った。

(測量って、結局はこういうことなんだろうな)

地面を歩く人々の暮らし。その営みを支えるための仕事。

空からの視点だけじゃ見えないものがある。

鉄板の上で焼ける一食の昼飯に、誰かの温かさがある。

「ごちそうさまでした」

田中は手を合わせた。

「ありがとうございました」

店を出ると、陽が差していた。

歩く足取りは、入った時よりも確かに軽い。

さあ、午後もやるか。

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ステーキハウス鉄板焼 不二

コメント (1件)

エリカ(2026/03/08)

鉄板の音と匂いが目に浮かぶようでした。サラリーマンの日常に潜む「リアル」を見つける瞬間、胸が熱くなりました。池尻大橋の昭和な雰囲気、素敵ですね。私もハンバーグ定食食べたくなりました!

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