
変わった街と、変わらなかった一杯
学生だった頃、 俺たちのたまり場は、ダイクマの前のケンタッキーだった。
地元の名店で生まれた思い出を、ショートストーリーで共有しよう

学生だった頃、 俺たちのたまり場は、ダイクマの前のケンタッキーだった。

金曜日の午後6時。美咲は淀屋橋の雑居ビルの階段を、鉛のような足取りで降りていた。 今日のプレゼン、完全に失敗した。 上司の前で頭が真っ白になって、クライアントへの提案資料の数字を2箇所も読み間違えた。...

五月晴れの空が広がる東京、九段下。 新緑が眩しい靖國神社の参道を、健太の手を引いて歩く。 「お父さん、お腹すいたよー」 小学4年生になった健太が、少し拗ねたような声を上げた。無理もない。今日は朝から歴...

白いクロスが張られた円卓のあいだを、私はトレイを抱えて静かに歩いていた。 磨かれた床に、シャンデリアの光と、窓いっぱいに広がる相模湾の青が映り込んでいる。

昭和が息づく「豊年」の城 渡田新町の通りから店に入ると、そこには時間が止まったかのような、温かくも懐かしい風景が広がっていた。 まず目に飛び込んでくるのは、使い込まれてなお艶を放つ深紅のカウンター...

スマートフォンの通知が止まらない。Slack、チャットワーク、メール。ITベンチャー企業の社長として、40代を迎えた私の日常は、0と1の信号に埋め尽くされていた。

一月の終わり、就活帰りの私は成瀬駅のホームに降り立った。

築地の路地にひっそりと佇む古い建物の前で、 私は一度だけ立ち止まった。 ここが鉄板焼Kurosawaだと知らなければ、 通り過ぎてしまいそうなほど静かな佇まいだった。

早朝、国道18号線

相模原の喧騒から少し離れた路地裏。 看板に掲げられた「ピローグ万作」の文字は、どこか異国の童話から抜け出してきたような、不揃いで愛らしい筆致だった。 扉を開けると、まず鼻をくすぐるのは、じっくりと炒...